気付けば、君の腕の中。



―ガタタンッ!と大きな音が先輩の後ろから聞こえた。

あたしの顎を掴んでいた先輩が一度離して、振り返った。


そこでようやく気づいた。

あの何かを倒したような大きな音は、誰かが机を蹴り飛ばした音だったようだ。


その証拠に机が倒れていて、周りにいた先輩の友達らしき人が怯えている。



先輩でよく見えないけれど、誰かがこちらに向かってきた。


「はー…、聞いてたら胸糞悪いっての…」


聞き覚えのある声に、あたしは目を見開かせた。

カーテンがひらりと舞って、そこにいる人は太陽の光で髪がきらきらと輝いていた。


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