気付けば、君の腕の中。


先輩の胸倉を掴んだ彼は、思い切り殴り飛ばして、チッと舌打ちをした。


「…で、あのバカ女が“平凡”で“そんなに何かが凄い”わけでもねーって?
笑わせんなよ…」

「て、てめえは誰だよ!??」

「それより…訂正しろよ。人様に向かって、何つーこと言うわけ。…あれでも、バカなりに頑張って、バカなりに人のために生きてんだよ」


バカは余計だけど……。

どうして、五十嵐くんがここにいるんだろう。


…あたしに、そんなにも優しい言葉を言うのはどうしてなの…?



「めんどーだから、さっきの先輩の声、録音してあるんスけど、これせんせーに見せても怒られないんですよね?」

「ッチ!!」


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