気付けば、君の腕の中。
「…先輩はぶっきらぼうで、好きな人の前では情けないくらい、動揺する人だったから…」
「だからほっとけなかったって? アイツといい…お前は普通の恋愛が出来ないわけ?」
呆れる五十嵐くんに、あたしは苦笑するしかなかった。
すると、不意に手を伸ばした五十嵐くんが、あたしの頭を優しく撫でる。
「こっから本題だけど、何でアイツのことが好きなんだよ。…まさか、変に慰め合って気づけば恋に落ちてたパターンじゃねーよな」
「えっ……えっと…」
「例えば、アイツに助けられたとか、なよなよしてるけどいざって時には頼りになったとかあんだろ」
五十嵐くんの言う「アイツ」は凜くんのことで間違いないだろう。
…だけど、あたしはどのタイミングで凜くんを好きになったのかな。