気付けば、君の腕の中。


「…先輩はぶっきらぼうで、好きな人の前では情けないくらい、動揺する人だったから…」

「だからほっとけなかったって? アイツといい…お前は普通の恋愛が出来ないわけ?」


呆れる五十嵐くんに、あたしは苦笑するしかなかった。

すると、不意に手を伸ばした五十嵐くんが、あたしの頭を優しく撫でる。


「こっから本題だけど、何でアイツのことが好きなんだよ。…まさか、変に慰め合って気づけば恋に落ちてたパターンじゃねーよな」

「えっ……えっと…」

「例えば、アイツに助けられたとか、なよなよしてるけどいざって時には頼りになったとかあんだろ」


五十嵐くんの言う「アイツ」は凜くんのことで間違いないだろう。


…だけど、あたしはどのタイミングで凜くんを好きになったのかな。


< 269 / 445 >

この作品をシェア

pagetop