気付けば、君の腕の中。
…あ、あれ?
「えっ、あたし五十嵐くんに凜くんが好きなんて教えたっけ…?」
「はあ? テーマパークに出かけたとき言っただろ。“誰がどう見ても付き合ってるように見えた”って」
「う、うん…言ってたような……」
「だから付き合ってんのはお前とアイツで、もう一人の女が付き添いかと思ったんだよ。
そしたらお前が付き添いっつーから…、お互い片思いしてんだなって気づいたわけ」
「……あたしは、確かに凜くんが好きだけど、凜くんは違うよ」
鞄からスケッチブックを取り出すと、ペンケースから鉛筆を取ろうとした。
それを止めた五十嵐くんの手のひらは、あたしの右手を掴んで離さない。
「…もしかして、“友達”でいてほしいって言われた?」