気付けば、君の腕の中。


あたしの右手を掴む五十嵐くんの手のひらは震えていた。


「……苛めたら、おれから離れると思った」

凜くん…、言ってたな…。

五十嵐くんに苛められてたから、近寄らないようにって注意してくれたっけ。


…だけど、五十嵐くんは五十嵐くんで苦しんでいたんだ。


「じゃあ…、五十嵐くんは凜くんに頼ってほしかったんだよね?」

「…“友達”なら、そーいうもんだろ」

「そっか……」


もしかしたら…、凜くんと五十嵐くんは“友達”になれるかも知れない。

ただ、どうしたら…、何か、二人がもう一度話せる機会があればいいのに。


「そーいや、おれの妹が気にしてたけど、もう幼稚園には来ねーの?」


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