気付けば、君の腕の中。


―それは今から一週間前の土曜日の話だ。

いつも通り幼稚園に向かうと、まず初めに白くんが飛びついてきた。

最近では甘えてくれるようになり、こうして抱っこをせがんでくれるのも当たり前だ。


白くんを抱き上げると、彼の手に持っていた紙に視線を向けた。


『それ、何の紙?』

『おっ! さすがはあやかだな!! これはなんと…! うんどうかいのきかくしょだ!』

『よく企画書なんて難しい言葉を知ってるね…』

『けいじドラマでいってた!!』

『なるほど…、それで企画ってことは、まだ決まってないの?』


玄関で靴を脱いで突き当たりの部屋に行くと、既に五十嵐くんは来ていたみたいだ。


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