気付けば、君の腕の中。


そのことを奈々美に話すと「待って」と言われた。

片手で顔を覆う奈々美に首を傾げながら、あたしは注文していたフルーツと生クリームのパンケーキを頬張る。


「……え、ちょっと、何当たり前のように“五十嵐くん”が出てきてるの!?」

「ふえ?」

「絢華が前に話してくれたときは“凜くんと話せてない”とか“凜くんが怒ってる”とかだったのに突然の“五十嵐くん”ですって!?」

「な、奈々美、何で怒ってるの…?」


バンッ!とテーブルを叩いて立ち上がった奈々美は、すぐさま我に返って椅子に座り直した。



「…その五十嵐くんって人は、いつから知り合ったのよ」


…あれ、そういえば奈々美には一度も教えたことがなかった…かも知れない。


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