気付けば、君の腕の中。


元々五十嵐くんは凜くんの幼馴染で、前にテーマパークで遊んだときに来た人だと教えた。


初めは冷たくて意地悪で、凜くんを苛める嫌な人かと思えば、全然違ったこと。

優しくて、よく頭を撫でてきて、前に付き合っていた先輩に絡まれたときに助けてくれたことを話すと、奈々美は頭を抱えてしまった。


「あ、…絢華、知らない間に色んなことがあったのね……。どうして言ってくれなかったのよ…」

「あはは…、何かわーっとなってたから、自分でも追いついてなくて…」

「まさかだけど…、その凜くんよりも五十嵐くんのほうが好きなんて言わないわよね?」

「っへ? まさか! 何故か凜くんが怒って避けられてるだけで、あたしはまだ凜くんが好きだし…」

「…そう」


五分だけ待って、という奈々美がおかしくてつい笑ってしまった。

…あたしが五十嵐くんを? 絶対にありえない話だ。


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