気付けば、君の腕の中。
丁度五分経つと、奈々美はようやく落ち着きを取り戻したようだ。
あたしも深呼吸を繰り返すと「それで」と本題に移った。
「…奈々美にお願いがあるんだ」
「お願い? うちでよければ全然頼ってくれていいわよ」
「実は―、お姉ちゃんに会いに行こうと思ってるんだ」
「? 一緒に住んでるんでしょ?」
……あ、まずそこからだった。
奈々美とはクラスが別れてしまったので、全然悩みを相談できていなかったのだ。
あたしはパンケーキを食べ終えると、フォークをお皿の上に置いた。
「…入学した初めくらいのときに、朝迎えに来てくれたことがあったでしょ?」
「あったわね。まだお互い部活が始まる前だったから、一緒に学校に行けたのよねえ」