気付けば、君の腕の中。


簡潔に言えば、その日は本当に振り回されるだけだった。

アイツには元々後悔があったため、こうして付き合ってやっただけなのだが、どっちの女と付き合ってんの?


空気的にもじもじとしているどこにでもいそうな、アイツに恋をする女と付き合っているのかと思った。


…おれの隣を歩く、このバカみてーな面をした女のことを、どうやらアイツ…坂木は好きらしい。


何がいいのか分からず、何度か視線を向けたが女のほうがおれにびびっていた。

ふーん、おれが怖いわけ。まあ、どうでもいいけど。



昼間からラーメンを食うし、時々口を半開きにして楽しそうに観覧車を眺めるバカ女。


からかい半分で「襲われてーから残ってんの?」なんて聞けば、ちゃんと睨んできた。

坂木と違って、おれを睨むことは出来るようだ。


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