気付けば、君の腕の中。
―ガタンッ!!
その大きな音に意識が現実に引き戻された。
視線をそちらへ動かせると、あからさまに怒った表情で教科書を取り出す坂木。
…お前、分かりやすすぎだろ。
ちらりと後ろの席を見ると、何故か青ざめるバカ女に少しだけ気になった。
次の日のことだ。
おれは何となく朝早くに教室へ行くと、あのバカ女は席に座っていた。
少しだけ肩が震えていたため、顔を覗いてやる。
すると、泣きそうな表情を堪えて、携帯へ視線を向けていたため、何だか居たたまれない気持ちになった。
身構えるバカ女を無視して、アイツの席に腰を下ろすと、不思議そうにおれを見つめた。