気付けば、君の腕の中。
じっと見つめても分からない。
何で、こんなやつを坂木は執着しているのだろうか、とか。
さっきの悲しげな表情は何だったのだろう、と気にしてしまう自分がいるのか、分からない。
―「こーんな平凡女のどこがいいんだか」
ギロリとおれを睨んだバカ女の頭を撫でると、少しだけ目を細めた。
…猫みてえ。
何人かクラスメイトが教室に入ってきた。
その中には坂木もいて、おれを睨んでいたが、アイツが本当に好きなのはこの女ではないのかと思った。…まあ、どうでもいいけど。
驚くことに、おれは夕方陽菜を迎えに幼稚園に向かえば、泥だらけになっていた。
しかも、あのバカ女までも泥だらけだ。