気付けば、君の腕の中。
内心驚きつつも、こんなにも嬉しそうにはしゃぐ妹を見るのは初めてだった。
…まさか、この女のおかげ?
その日の晩、焦げたオムライスを作った妹は嬉々としておれに語った。
あの女…、平凡だと思っていたけど、子供の面倒を見るのは得意なんだな。
ふーん…。
段々おれはあの女に振り回されるようになっていた。
陽菜がどうしても踊りを教えてほしいというので、仕方なく貴重な時間を削ってやれば、案の定あのバカ女は幼稚園に来ていた。
一番年上だというのに、踊りを教えられないのは笑えたし、これで貸しが作れたと思うと、まるできっかけを作れたのが嬉しいみたいな自分がいたことに驚いた。
おれの視界であの女が踊る。
下手くそなのに、目が離せなくて、笑ってしまって、あー普通に面白いと思った。