気付けば、君の腕の中。

未だに坂木が好きだというバカ女に、おれは自分の気持ちを隠した。

何でおれは、坂木に対して後悔していることを教えたのだろう。



違う、に決まってる。


このバカが好きなのは、おれが苛めた坂木で…。別にどうでもいい話だ。


そうだ。

どうでもよかったはずなんだよ。



それなのに――、感情が暴れ狂った。



……もし、ここでお前を抱きしめたら、この感情に名前がつくのだろうか。


きっと、そんなおれを突き飛ばして、お前は「ごめん」なんて言うのだろうけど。


今は、気づかないフリをしてやる。

だから早く、おれが気づく前に、アイツと幸せになれよ…、頼むから。



そうしたらおれは、後悔せずに生きられるのだから―。