気付けば、君の腕の中。
…凜くん、何て返事をするのかな。
桃と付き合ってるんだから、キスをするのはおかしな話ではない。
だけど、…それなら何であの日あたしにキスをしたの?
期待…しても無駄だと分かっていながら、あたしは“友達”だと言って、凜くんを突き放したはずなのに……。
心拍数が高まる。
頭の中で「聞いてはいけない」と分かっていても、耳を塞げない自分がいた。
「…絢華」
不意に名前を呼ばれて、びくりと肩が震え上がった。
そちらへ視線を向けると、あんなにもざわついていた教室が静まり返る。
「…部活行くぞ」