気付けば、君の腕の中。
電車に揺られること20分。
学校に着くと、凜くんとは玄関で別れた。
鼻歌を口ずさみそうになって抑えると、教室には既に奈々美が来ていた。
あたしの席に座ってお菓子を食べる姿に呆れながら近寄ると、急にこちらを振り返った。
「ちょ、絢華! アンタあの転校生と付き合ってたの!?」
「奈々美、声大きいよ…! それに凜くんとは付き合ってないから!」
「名前呼びに変わってるし…!!」
完全に墓穴を掘ってしまったあたしに近寄る奈々美。
思わず後ずさると、ドンッと誰かにぶつかってしまった。
「てんめ…、俺にぶつかるたァいい度胸じゃねーか、あァ?」
背後から聞こえた不機嫌そうな声に、びくりと肩が震え上がった。