気付けば、君の腕の中。
窓際に立って、グラウンドを眺めた。
サッカーボールを蹴り飛ばす男の子は、凜くんと同じ男の子なのに、全然ときめかない。
桃に自分の気持ちを白状してから、この感情は一生隠すつもりだった。
だけど…、最近それが出来なくなってしまい、あたしのほうから凜くんを避けてしまう。
あたし…、一体どうしたいのだろう。
「なあ、貸しあっただろ」
「…? うん、あったね…」
五十嵐くんの手のひらがあたしの頭の上に乗っかった。
ひなちゃんをよく撫でているのか、五十嵐くんは慣れた手つきで左右に動かした。
「…前にオムライスの作り方、教えろっつったの覚えてるよな?」
「え、あ、わわっ! おぼ、覚えてるから手に力を入れないで!!」