気付けば、君の腕の中。


スケッチブックを持って窓際に移動すると、あたしは鉛筆を握り締めた。

…奈々美に協力をしてもらって、ついに夏休みの間にお姉ちゃんに会うこととなった。


昨日、思い切ってメールをしてみれば、お姉ちゃんから返事が届いたのは今日の朝だった。


どうやらお姉ちゃんも会いたかったようで、メールには『いつでも大丈夫だから、日付決まったら教えて』と書かれていた。


ここであたしがお姉ちゃんと向き合わないと、家族全員で前に進むことは出来ない。

もし…、お姉ちゃんと会って、拒否されたらどうしよう…。



「おい、何ぼーっとしてんだよ」

「っへ? ううん、何でもないよ!」


ポジティブに考えないと…、駄目だよね。

上手くいかなかったとしても、お姉ちゃんに会うことが大事なのだから―。


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