気付けば、君の腕の中。
そうだったんだ…。
あたしの手を握ったままだったひなちゃんに、あたしは膝を屈めた。
「ひなちゃん、銭湯行こっか! あたし、コーヒー牛乳飲んでみたかったんだよね」
「いちごぎゅーにゅーもあるよ! おにいちゃん、おかねちょうだい!」
「はー、おいバカ女は着替えもねーのに、どうやって銭湯行くんだよ…」
「あっ…」
「仕方ねーから、ほら。おれの服貸すから行ってくれば」
自分の服なんて全然気にしてなかった。
わざわざ五十嵐くんは自分の服を持ってきて、それをあたしに押し付けた。
有難く受け取ると、ひなちゃんの手を握り直して、五十嵐くんも連れて銭湯に向かった。