気付けば、君の腕の中。
その声に振り返ると、奈々美は切符を二枚持って、手を振っていた。
あたしも手を振り返して近づいた。
「はい、絢華の切符も買っておいたわよ」
「ありがとう! 幾らしたの?」
「ああ、そういうのはいいから!」
「ええっ? さすがに奢ってもらうのは悪いよ…」
手渡された切符を見つめていると、奈々美があたしの手を引っ張った。
「実は夏休みの間だけ、バイトをしようと思ってさ! 今、丁度始めてるの! だから大丈夫よ」
「そうなの? じゃああたしもバイトしたら、何か奢るね」
改札口を通ると、奈々美にお姉ちゃんと待ち合わせをした駅を教えた。
今日は初めて友達との日帰り旅行だ。目一杯楽しもう…!