気付けば、君の腕の中。
あたしはどら焼きを食べ終えると、持ってきた小さいゴミ袋に捨てた。
「絢華は…鈍感だから苦労するわね…」
「ど、鈍感かな?」
「今思ったけれど…、何で坂木に避けられているのか分かってるの?」
「えっ…、奈々美って凜くんの苗字知ってたんだ」
「一ノ瀬さんと今同じクラスなのよ。絢華と坂木がお互いを避けあってるって聞いたから…」
…桃、もしかして心配してるのかな。
「あたしと凜くんは、“友達”として好きなだけで、あたしは二人を応援してるし…」
「それよ、それ。本当にそれで合ってると思ってるの?」
「…どういう、意味?」