気付けば、君の腕の中。
奈々美の言いたいことが分からず、あたしは首を傾げた。
「ずっと絢華や一ノ瀬さんから話を聞いて考えてたんだけどさ、坂木は一ノ瀬さんと付き合いたいから、応援してくれって頼んだの?」
「…凜、くんが? あたしに?」
「そうよ」
「確か…、桃とのデートに付き添いを頼まれたときに、ちゃんと桃と付き合いたいのかなって思って…」
…あれ、あの時凜くんは何て言ってた?
「凜くんに“桃とはちゃんと付き合いたいって、そう思ったから…頼ってくれたの?”って聞いたんだ」
そしたら、凜くんは――。
「“絢華なら頼っても俺を受け入れてくれそうだから”って言ってくれた…」