気付けば、君の腕の中。
+ 牡丹色に頬が染まった
奈々美とは一度別れて、後で合流することにした。
ここからはあたし一人だ。
お姉ちゃんには前もって「一人で来て欲しい」と頼んであるから、月城は来ないだろう。
駅のホームの階段を下りて、改札口を通った。
壁に背中を預けて、携帯を眺めるお姉ちゃんを見つけた瞬間、手のひらに汗が滲んだ。
「…お姉ちゃん、お待たせ」
「絢華…、今来たところだから大丈夫よ」
オシャレな服を身にまとうお姉ちゃんは、何故だか遠く感じてしまった。
だけど―、もう逃げ出さないよ。
「大事な話が…あるんだ」
「何となく…、絢華なら説教か慰めにでも来ると思ってたよ。行きつけのカフェがあるからそこで―…」