気付けば、君の腕の中。
あたしの言いたいことがバレているのか、お姉ちゃんは少しだけ冷たい言い方だった。
「…お姉ちゃん、このままじゃあたしたち家族は変われないよ」
「分かっているよ、それくらいは…」
「もし…、明日お父さんとお母さんが死んだらどうしようって、毎日思うんだ」
「そんな大げさに考えなくても…」
「普通だったらそう思うよ。でも…、あたしたちは必ず後悔するから、だから不安なんだ」
お母さんはまだお父さんのことが好きでいてくれた。
…だったら、このまま離婚するまで待つのではなく、お父さんを振り向かす方法を考えるしかないのだ。
「あたし、もう過去は見てないよ。昔みたいに家族みんなで出かけたいとか、みんなと過ごしたいなんて思ってない」
「…じゃあ、どうしたいの?」
「ただ…、笑い合いたい。それだけでいいんだ」