気付けば、君の腕の中。
あたしは鞄に入れておいた四葉の絵が描かれた便箋を取り出した。
「…もしよかったら、これにお父さんとお母さんへの手紙を書いてほしいんだ」
「私、手紙書くの苦手なんだけど…」
「書けなかったらそれでいい…、ただ一言でもいいから何か書いてほしい…かな。
いっそのこと今思ったことを書いてもいいし」
「じゃあ…、まずふざけんなって思うよね。勝手に離婚だの別居だの言い出して…、それを私たちのせいにするなんて…、酷いって思う」
「…お姉ちゃん」
便箋を受け取ったお姉ちゃんは、くしゃりと顔を歪めた。
「一度も私や絢華を見なかったあの二人のために、頑張るなんて…悔しかったのよ…」
「…うん」
「言っとくけど、私がテストで100点を取ってもそれが“当たり前”とか言うのよ。…頑張ってもどうせ“当たり前”で片付けられるなら、頑張る意味がないじゃない…」