気付けば、君の腕の中。


肩を震わせながら、お姉ちゃんはぼろぼろと本音を零した。


「妹、ばっか見てさ…私のことなんて、何にも見てなかったくせに、注意だけはしてきて…」


小さい頃、お母さんは「お姉ちゃんは何でも出来るから安心」だと言っていたことがあった。

…それがお姉ちゃんにとって辛かったのだ。


「離婚騒ぎになったときに、近所の人に言われたのよ。“一番上の姉は何も出来なくて、下の妹も何も頑張れないから離婚した”って。…はっきり言って、私たちは関係ないのに…」


だけど、と言葉を繋げたお姉ちゃんは顔を上げた。


「…家族は、親だけでなれるものじゃないのよね…」

「うん…、家族はあたしとお姉ちゃんがいるからこそ、そう呼べるんだよ…」


< 348 / 445 >

この作品をシェア

pagetop