気付けば、君の腕の中。
何をしていたかなんて。
そんなの誤魔化されるに決まっている。
凜くんはきっと―…。
「…俺、一ノ瀬に告白されたんだ」
「えっ…桃のほうから?」
「? 知り合い?」
予想外の言葉に目を見開かせると、凜くんもまた驚いていた。
「う、うん…幼稚園からの親友。
優しくて可愛らしくて…、気遣いも出来るいい子なんだ」
「そうなんだ…。俺みたいなヤツに告白するなんて、ちょっと変わってるよね」
そ、そうかなあ…。
凜くんは十分優しい人だと、あたしは思っているんだけど…。
「まあ、昨日彼女と別れたし、断る理由がないから付き合おうと思ってるんだけど…。
絢華は俺のこと、タラシだと思う?」
「…え?」
あまりにも悲しげな瞳を向ける凜くんに、一瞬だけ言葉を失った。