気付けば、君の腕の中。
奈々美が駅に戻ってくるまで、あたしは近くのカフェに寄った。
月城の初恋があたしだったのは驚いた。
だけど、もう月城の名前を聞いても、動揺しなかった。
あんなにも未練があったはずなのに、いつの間にか綺麗に消え去っていた。
勿論、月城はあたしの初恋の人で、今も変わらず大切な人だ。
…あたしも、お姉ちゃんのように、誰かの好みに合わせた服を着るようになるのかな。
出来ることならば、あたしも幸せになりたい。
そのために―、家族を取り戻して、今度こそちゃんとあたしの気持ちを凜くんに伝えたい。
泣き虫だった頃のあたしは、もうどこにもいなかった。