気付けば、君の腕の中。


奈々美が駅に戻ってくるまで、あたしは近くのカフェに寄った。

月城の初恋があたしだったのは驚いた。


だけど、もう月城の名前を聞いても、動揺しなかった。


あんなにも未練があったはずなのに、いつの間にか綺麗に消え去っていた。

勿論、月城はあたしの初恋の人で、今も変わらず大切な人だ。



…あたしも、お姉ちゃんのように、誰かの好みに合わせた服を着るようになるのかな。


出来ることならば、あたしも幸せになりたい。



そのために―、家族を取り戻して、今度こそちゃんとあたしの気持ちを凜くんに伝えたい。


泣き虫だった頃のあたしは、もうどこにもいなかった。


< 354 / 445 >

この作品をシェア

pagetop