気付けば、君の腕の中。
照れ臭そうに言う奈々美を見て、羨ましいと思ってしまうあたしがいた。
とりあえず陰輔くんにメールで「服、いつ返せばいいかな」と送ったら、意外にも早く返信が届いた。
「普通彼シャツなんて好きな子以外させないものよ?」
「あはは…、奈々美は恋愛ドラマの見すぎだよ」
「いや! うちの乙女の勘が言ってるんだもの!」
携帯に表示されたメールを開くと、陰輔くんの文章を読んだ。
「……え」
「ん? ちょっと絢華! やっぱりこれって絢華のことが好きじゃない!!」
「い、いや…違うよ! ただ、貸しを返して欲しいって意味だと思う…よ?」
『最後の貸しのついでに返してくれたらいい。明後日の花火大会、一緒に行くぞ』