気付けば、君の腕の中。


たこ焼きや焼きそば、わたがしに林檎飴…。

どれもテレビでしか見たことがないから、食べなくても眺めるだけで十分楽しめた。



「あ、陰輔くん。あれ買っていい?」

「ん? かざぐるま?」

「昔から欲しかったんだ。ほら、息を吹きかけるとくるくる回って綺麗でしょ?」

「ふーん」

「え、陰輔くん!? あたし自分で買うよ!?」


さっさとお金を払って、あたしの手のひらにかざぐるまを握らせた。

慌てるあたしに、やっぱり陰輔くんは頭の上に手を乗せて、強制的に黙らせた。


「そうじゃなくて、違う言葉があるだろ」

「……あ、ありがとう?」

「どーいたしまして」


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