気付けば、君の腕の中。
顔を上げた瞬間、打ちあがる花火。
色とりどりに輝く花火は、今まで見たきた景色の中で一番綺麗だった。
鮮やかに夜空で弾ける花火をずっと見つめていると、陰輔くんが手を離した。
いつの間にか後ろにいた陰輔くんは、振り返ったあたしの腕を引っ張ってー、抱きしめた。
「い、陰輔、くん……」
「…言うつもりはなかった、けど。まさか浴衣を着てくるなんて、卑怯じゃねーの…」
陰輔くんの息が耳にかかって、びくりと肩が震えた。
あたしだけをじっと見つめる陰輔くんは、いつもより余裕がないように見える。
「……どーせ、お前はアイツが好きなんだろうけど、はっきり言う」