気付けば、君の腕の中。
あたしたちの頭上では、花火が満開の桜のように咲き誇る。
たった、三文字の言葉を言うだけで、人を傷つけてしまうのだと、このときのあたしは知ってしまった。
それを聞いた陰輔くんは体を離して、至近距離であたしを見つめた。
「…なんで、絢華が泣きそうな顔してんの」
「だ、って…あたし、こんな思い、したの初めてでっ…」
「はっ…、さすがは自己犠牲のプロ。好きでもないおれのために泣いてくれるわけ?」
「いじ、わるっ……」
「まあ…、諦めるつもりはないけど。相手がアイツなら尚更」
「っふ……」
ついに涙が零れ落ちてしまい、あたしは両手で顔を隠した。