気付けば、君の腕の中。
▼ Story 8
+ 未来に向かって走り出した
「……よし!」
全員分の手紙を書き終えて、あたしはそれを机に仕舞った。
鞄を肩にかけて、自室から出ると、階段を下りた。
今日も綺麗に平らげてあるご飯を見て、ホッと息を吐き出した。
ソファに鞄を置くと、洗い物を済ませてから、前にお母さんがくれたハンドクリームを塗った。
その“当たり前”な家事を終えると、家の鍵を閉めて空を見上げた。
―竜浜幼稚園で運動会を開催するまで、残り一週間を切った。
学校に向けて歩き出すと、風で髪がふわりと舞った。