気付けば、君の腕の中。
学校に着くと、陰輔くんは普通に挨拶をしてくれる。
花火大会に行ったあの日から、彼は変わらず接してくれるのが嬉しかった。
その半面で、罪悪感はあったけれど、あたしは顔に出さないようにした。
「陰輔くん、ついに今週の土曜日だね」
「まー、おれは特に緊張することもねーな」
「え、何か競技に走出たらいいのに…」
「出るわけねーだろ…メンドくせーし」
くしゃりとあたしの頭を撫でた陰輔くんは、自分の席に戻っていった。
あたしは胸ポケットに仕舞っていた小さな手紙を取り出した。
……もう、迷わないって決めたんだ。