気付けば、君の腕の中。
恐る恐る顔を上げると、確かに凜くんは前に座っていた。
あちこちにはねた髪を見て、凜くんだと一瞬で分かる。
自分の手のひらに握られたそれを広げると、ノートの切れ端だった。
二つ折りにされた紙を広げようとしたけど、どうしても手が震えてしまう。
何回か躊躇して、息を吸い込んだ。
意を決して開くと―、たった三文字、そこに凜くんの字が存在していた。
その言葉に目が潤んでしまい、慌てて気を引き締めた。
…ようやく、凜くんと手紙を通じて会話が出来た。
ありがとう、と小さく呟くと、凜くんが頷いてくれたため、あたしは頬を緩ませた。