気付けば、君の腕の中。
+ 背中を押されて辿り着いた
―土曜日。
あたしは部屋で身支度を整えると、深呼吸を繰り返した。
昨日はよく眠れたし、幼稚園の準備も完璧だ。
今日は運動会なので、運動が出来そうな身軽な服装にした。
髪も頭の上で結んでポニーテールにしたから、そう簡単には解けないだろう。
リュックを背負って階段を下りると、あたしは目を見開かせた。
「お、おはよう! お母さん!」
「…絢華、おはよう。本当に今日身軽な服装でいいのかしら?」
「もちろん! それより朝ご飯は食べた?」
「それならまだだけれど…、久しぶりに一緒に食べましょう」