気付けば、君の腕の中。


竜浜幼稚園に向かう途中、不意にお母さんが口を開いた。


「…ずっと気になっていたのだけれど、どうして幼稚園で運動会を?」

「あ、それは…幼稚園にいる男の子と、些細なきっかけで仲良くなったのが始まりなんだ」


友達の桃の従弟である白くんを説明して、踊りの練習に付き合ったことも話した。


「誰かと触れ合うたびに…、もっと笑顔にさせたいと思って、沢山人を呼ぶために今回運動会を開いたんだ」


白くん曰く、去年も一昨年も、人数が少なすぎて運動会を開けなかったようだ。

それを聞いたからこそ、残り一年もない白くんの幼稚園の思い出を増やそうと、運動会を開こうと思い立った。


「…白くんや子供たちのおかげで、こうしてお母さんと一緒に過ごせるきっかけが作れたんだ」


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