気付けば、君の腕の中。
へらりと笑うと、お母さんは少しだけ驚いたように目を見開かせた。
ようやく見えてきた幼稚園を指差すと、丁度陰輔くんたちも着いたようで、ひなちゃんがあたしに飛びついてきた。
「あやかおねえさん、おはよう!」
「えへへ、おはよう。準備は大丈夫?」
「もちろん!! きょうはおとうさんとおかあさんもきてくれたの!」
「よかったね、ひなちゃん」
陰輔くんの後ろにご両親がいたので、ぺこりと頭を下げた。
すると、陰輔くんのお母さんがささっとあたしに駆け寄って、両手を握り締めてきた。
「貴方が陰輔の好きな子!? まあ普通に可愛らしい子じゃない! 陰輔! この子ならお嫁に来ても大歓迎よ!!」
「はあ!?」
…あんなにも慌てる陰輔くん、初めて見たよ。