気付けば、君の腕の中。
完全にあたしの入れない空気におどおどとしていると、凜くんがあたしの存在に気づいた。
視線が合っただけで、ドキリと胸が高鳴ってしまう。
お父さんに頭を下げた後、凜くんはこちらに歩み寄った。
「…絢華、おはよう」
「っ! うん、おはよう!」
「今日…その、私服でよかった?」
「もちろん! 運動会だから、身軽な服装で―っ凜くん?」
不意にあたしの頭に手を乗せた凜くんは、ぎこちなく撫でて微笑んだ。
「髪、結ぶのもいいね」
「っそ、そうかな? あ、ありがとう……ございます」
「ふは、何で敬語?」
あれ…、凜くん機嫌が、いい?