気付けば、君の腕の中。
思わず凜くんを見つめると、ごほんごほん!と咳払いする声が聞こえた。
「あ、あのー。絢華? そういうのは後でゆっくり話しなさい? 絢華のお父さんも困ってるから」
「っへ!? あ、奈々美、おはよう…!」
丁度奈々美が来たようで、お父さんと気まずそうな表情であたしたちを見ていた。
慌てて凜くんから離れると、清水さんがあたしを呼んだ。
「絢華さん、全員揃ったかしら?」
「あっはい! そろそろ移動しましょう!」
ここの幼稚園には運動場がないため、近くの小学校の運動場を借りさせてもらった。
勿論、そちらの飾りつけもばっちりだ。
徒歩で歩いて15分ほどなので、みんなで移動するために呼びに行くと、白くんと手を繋いで向かう。
後ろにお父さんたちや凜くん、それから桃がいるんだと思うと、緊張で心臓が壊れてしまうかと思った。