気付けば、君の腕の中。
走り終えたあたしは、ぜーはーと息を切らしながら、隣で腰を屈める美湯さんに、視線を向けた。
「あはは……、美湯さん速いですね…」
「絢華さん…途中で追い抜かしたくせによく言うわ…。はあ、大人になったのにこんなに全力を出したのは初めてよ」
「あたしも…久しぶりに走りました」
こちらに走ってくる白くんを見つめると、美湯さんの手のひらがあたしの肩を優しく叩いた。
「あやかー!! はじめにころんだから、びびったけど、がんばったな!!」
「ありがとう、白くん。何とか頑張れてよかった」
「つぎはつなひきだな! はやくじゅんび!」
「はあい」
準備をするために立ち上がって、あたしは周りを見渡した。