気付けば、君の腕の中。
あたしの前に座っていた陰輔くんは、ぺろりとお弁当を完食すると、眠そうに欠伸をした。
「陰輔くん、お代わりは?」
「あー、へーき。それよりこの卵焼き、味付けお前がしたわけ?」
「うん、ちょっと甘かったかな?」
「普通に美味かったけど、この前作ったオムライスとは味付けが違うから」
「ああ。あれはご飯に味がついてるから、薄めに味付けたんだよ」
そう言いながら、あたしは卵焼きを箸で摘むと口に運ぼうとした。
「っへ、り、りり、凜くん!?」
「…うん、確かに美味しいね」
あたしの手を掴んだ凜くんが、そのまま自分の口に卵焼きを運んだ。
それをぎょっとしながら見つめると、陰輔くんが眉間にシワを寄せる。
「…嫉妬しすぎだろ」