気付けば、君の腕の中。


「…その、色々避け続けて、ごめんなさい。
これから少しずつでいいから、私にも料理を教えて欲しいわ」

「っええ! 勿論…!!」


涙を零す清水さんにハンカチを渡すと、一緒に手紙も受け取ってもらった。


…次は、桃の手紙だ。


「桃…、ずっと避けてごめんね。あたし、桃の気持ちを考えてなかった…」

「!」

「今度はちゃんとあたしの気持ちを伝えていきたいと思う。…だから、あたしと仲直りしてくれませんかっ…?」


桃に対する手紙は、たった一言だけ書いた。

それが一番伝わると思ったのだ。


あたしの手紙に書かれた『大好きだよ』という言葉に、桃は涙をぼろぼろと零して抱きついてきた。


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