気付けば、君の腕の中。


―中学生の頃、あたしを救ってくれたのは奈々美だった。

いつもあたしの席に座って待ってくれていたのが嬉しかった。


「…奈々美、いつも親身になって話を聞いてくれて、まるで本当のお姉ちゃんみたいだった」

「そんな話もしたわね…」

「あたしを受け止めてくれたのは奈々美で、こうして誰かとコミュニケーションを取れたのも奈々美のおかげなんだよ」


奈々美がいなければ、きっとあたしは一人でいようとしていただろう。


「…誰かと話せることがこんなにも楽しいって気づかせてくれてありがとう」

「絢華…、こちらこそありがとう。よく頑張ったわね…! 偉いわよ!」


あたしを抱きしめた奈々美は、約束どおり褒めてくれた。

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