気付けば、君の腕の中。
あたしが凜くんのことを好きだって言っているようなものだ。
あわあわと慌てるあたしの腕を掴んだのは、いつもあたしを引っ張ってくれる陰輔くんだ。
「そうだよ、絢華! 家族みんなの笑顔を取り戻してから、向き合うべきね!」
「え、ええ……! だからこの手紙にはそんな言葉は書いてないのに…!」
「絢華、ほらお父さんたち待ってるよ」
呆然としながらあたしを見つめる凜くんに、何となく居たたまれない気持ちになった。
…こ、こんな形で凜くんに伝わる前に、ちゃんとお父さんたちと向き合わないと…。
「じゃ、じゃあ仕切り直して…お姉ちゃんと月城に読むね」
二人に宛てた手紙を開くと、月城がわざわざ隣に座ったため、びくりと肩が震えた。