気付けば、君の腕の中。
緊張しながら、初めの文字を読んだ。
「ま、まず…月城は、ある意味であたしの背中を押してくれたと思う人で」
「ある意味って何だよ」
「うっ……、その…お姉ちゃんを好き、っていう気持ちに、背中を押されまして…」
「何で?」
「な、何でってその、察しない?」
「無理だな」
分かっているくせに、意地悪そうなニヤけ顔をする月城が恨めしい…!
お姉ちゃんだって、自分の彼氏なのに、こんなみんなの前で初恋の人なんて言っていいの…?
「と、兎に角! 月城がお姉ちゃんを連れて、県外に行ったときから、ずっと伝えたかった言葉があったんだ」
昔のあたしならば、絶対に言えなかった言葉だ。
「お姉ちゃんと幸せになってね」