気付けば、君の腕の中。
…もう、手遅れかと思った。
何度も怖くなって逃げ出したかった。
だけど、お父さんたちはちゃんと向き合ってくれたのだ。
それがたまらなく嬉しい。
また、家族で過ごせるんだと思うと、涙が止まらなくて、胸が苦しくなった。
「…ほら、絢華。まだ手紙は読み終わってないだろう。彼に、読んであげなさい」
お母さんがあたしの涙をハンカチで拭うと、お父さんが背中を押した。
目の前で手を差し伸べる凜くんは、何かを決意したように、あたしをじっと見つめた。
「俺たちも、ちゃんと向き合おう。言いたいことが、沢山あるんだ」
恥ずかしくて視線を逸らすと、お姉ちゃんがお父さんたちに手紙を渡しているのを見て、あたしは差し出された手を握り締めた。