気付けば、君の腕の中。
+ 人はそれを「恋」と呼ぶ
(Side:凜太郎)
俺の手のひらを、ちゃんと絢華が握り締めてくれている。
その事実が嬉しくて、今にも泣き出してしまいそうだった。
しっかりと絢華の手を握ったまま、小学校の門を出ると、近くに見つけた公園に向かった。
その公園は、前に俺が絢華を連れて行った場所に似ている。
あの時―、絢華が俺のことを“友達”だと言ったときに、何故か傷つく自分に驚いた。
いつの間にか、俺は絢華と“友達”でいるのが嫌だと思ってしまったのだ。
ベンチの砂を手で払うと、絢華を座らせて、俺は近くの自販機で飲み物を買った。
…今、ちゃんと向き合わなければ、一生絢華は俺のことを“友達”だと思ったままだ。