気付けば、君の腕の中。
何となく気まずくて視線を逸らそうとすれば、肩をがしっと掴まれた。
「え、その……」
「絢華の顔を見ていたら、今凄く幸せだと分かる。…泣かせるようなことだけは、しないでくれよ」
「それはもちろん約束します…!」
意外にも絢華の父親は、娘のことが大好きな人だった。
少し怖かったけど、見ず知らずの男が娘を奪おうとしているのだから、きっと必死なんだろうな…。
「おい、てめえ絢華と付き合えたのかよ」
その声に振り返ると、絢華が過去に好きだった男がいた。
…まさか、この人の初恋は絢華だったのだろうか。