気付けば、君の腕の中。
俺を苛めていた幼馴染は、変わり果てたらしい俺に失望し、あまり話しかけて来なくなった。
俺は幼馴染で、唯一の話し相手でもあったため、たまに連絡を取っていた。
1度も彼が電話に出たことはなかったけど、俺はそういうものなんだと思い込んだ。
―世界中の人は、一生俺を気にも留めず、都合のいいときだけ相手にし、飽きれば捨てるものだと思っていた。
しかし、親戚の家に引っ越した数日後。
俺の家の庭で、恐らく俺と同い年の女の子を見つけた。
猫とじゃれる姿は、中学生のときに見た、メイクの濃い女の子でもないし、さばさばしていそうな女の子でもない。
どこにでもいそうで、どこにもいない女の子がそこにいた。